行政に旗を振ってほしい
飼い主のいない猫にエサを与えることは、悪いことではありません。
かと言って、やらなきゃならない義務でもありません。
エサやりをするもしないも個人の自由です。
ただし、近隣に迷惑をかけてはいけません。
だから、マナーが大切です。
世間では大きな誤解があります。
「飼い主のいない猫にエサを与えること=近隣に迷惑をかけること」
だと思われているのです。
たしかに、エサを置きっぱなしにして手術もしていなければ、近隣迷惑になります。
しかし、マナーを守れば近隣迷惑にならない、ということがまるで知られていないのです。
迷惑でないどころか、マナーを守ったエサやりをしないと、猫の数を減らすことができません。
マナーとは、毎日同じ時間、同じ場所でエサを与え、猫の食後はきちんと片付けること。
そして、頭数が少ないうちに去勢不妊手術をすること。
もしも捕獲の仕方が分からないならば、行政やボランティアに相談(丸投げではない)すること。
エサを与える場所は、ご理解をいただいている場所ということになります。
定点定時のエサやりによって、流入猫や捨て猫を素早く把握して手術することができるため、頭数を着実に減らしていくことができます。
ところが、人の心にこびりついた「エサやり=迷惑行為」という思い込みを払拭するのは、容易ではありません。
飼い主のいない猫問題に関わったことがある人なら誰しも、
「エサを与えたら猫が増えるから、ダメに決まってるでしょ!」
というご意見に苦慮した経験があると思います。
この誤解「エサやり=迷惑行為」を解いていくために、行政の信用力がものを言います。
行政が苦情電話を受けたときに、
「エサやりは禁止していません。ですので、エサやり自体を注意指導することはありません。ただし、近隣の迷惑にならないようにすることは大切ですので、エサを置いたままにしているなど、マナーが良くないのであれば、エサを与えている方とお話しします。」
と担当者が答え、
市報やホームページでも「猫へのエサやりにはマナーがあります」と発信し続けると、
徐々に徐々に市民の中に浸透し、ボディーブローのように効いてきます。
「行政がそう言っている」というのは、かなりの重みがあるのです。
行政の発信によって、きちんとマナーを守っているエサやりさんが、どれだけ助かるか分かりません。
地域の有志で猫対策をしようとするときに、どれだけ後押しになるか分かりません。
「猫へのエサやりにはマナーがあります」
行政にはこうやって旗を振ってほしいと思うのです。
適切なエサやりによって、結果的に猫対策が進み、地域トラブルも減っていくのですから。