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2018年6月

2018年6月30日 (土)

私のちっぽけな地域猫活動(実戦編2)

実戦編のつづきです。
なにはともあれ、リサーチを兼ねて、近隣への周知徹底、戸別訪問です。
これをサボると、あとで痛い目に遭います。


前々回の記事(覚悟決めた編)に書きましたが、私がノラ猫対策をするハメになった直接のきっかけは、お腹が大きい白黒猫(結果的にはオスだった)を見かけたことです。


NPOねこだすけの工藤さんに「お腹の大きい猫がいます!」とメールしたら、「あなたが作ったマニュアルどおりにやってください。」と宣告されてしまい、覚悟を決めた訳です。

その「マニュアル」は、登録ボランティアさん用であり、一般公開していないので掲載できないのですが、一般公開している以下のものと基本の部分は変わりません。

色々なやり方があるでしょうが、少なくとも私は、上記に従って、対策を進めねばなりません。
なにしろ、当時私は、仕事で、「マニュアルのとおりにやってください。」と言っていたのですから(^^;


さて、今回、超久し振りに、当時作ったチラシを見てみました。
文言を読んでみたら、どうやら私、上記によって覚悟を決めたその日のうちに、すぐにチラシを作り、近所を回ったようです。

その時点では、まだ動物病院のアテもなかったハズなのに、無計画と言うか、素人の怖いもの知らずと言うか、我ながら呆れますね。お手本になりません。
そのときのチラシがこれ。無駄な勢いを感じます。
↓↓↓↓↓↓↓

「start_01.pdf」をダウンロード


さて、チラシを持ってご近所回りをしたのですが、マンション5階に住んでいますので、まったくご近所とお付き合いがないのです。

ですので、近隣の戸建てのお宅を回ることに、心臓バクバク。


とても勇気がないので、家でテレビを見ていたチビ(当時4歳)に声をかけました。
「なぁ、父ちゃんこれからちょっと出かけるんだけど、お前も一緒に来いよ。」

で。
とりあえずチラシをたくさん印刷して、家を飛び出し、1軒目。
チャイムをピンポンする勇気が無くて、そのお宅の前を5~6分は行ったり来たりウロウロしていたと思います。
不審すぎて、チビがいなかったら、確実に110番通報されてますね。


チビが「父ちゃん、何やってるの~」とかなんとか、何かきっかけになるセリフを言いまして、
「えい!何とかなるだろう!」
と1軒目のチャイムをピンポン。

そこは立派な邸宅で、インターホンから、どちらかというと高齢の紳士の声がしました。
「はい。どちら?」
不審に思われているような気がします。無理もないですね。

「すいません!わたし、そこの●●マンション5階に住んでいる石森といいます。急にすいません!お腹の大きいノラ猫を見かけたので手術しようと思っていまして、ノラ猫の状況をご近所の皆さんに聞こうと思ってまして、それで、え~っと・・・・・・。」
うまくしゃべれませんでした。

それなのに、ご主人の声のトーンがとても真面目なものになり、
「今、部屋着なので、着替えてすぐに行きます。ちょっと待ってください。」
え?


数分待って、玄関から出てきた紳士は、60代後半くらいの印象です。
「ありがとうございます。実は近隣で、どうしたものかと話していたんです。」
え?

予想外にいきなり感謝されました。まだ何もやっていないのに。


そうだ、マニュアルでは、聞かなきゃいけないことがあった。

「フン被害とかありますか?」
「あったよ。ウチは超音波発生装置を買ったから、もう大丈夫だけど。でも、ご近所はまだ困っていると思うよ。」


聞けば、ノラさんは、1頭ではなく、それなりの頭数いるらしい。




喜ばれたので気を良くして次のお宅へ。

2軒目も3軒目も喜ばれ、だんだんピンポンするのが楽しくなってきまして・・・。
バンバン訪問しまくり。


何軒目だったか忘れましたが、ひとしきりお話しした後、奥様が
「ちょっと待ってもらえますか?」
と言って家の中に入って行きまして、素直に待っていたら、


「お待たせしました。はい、ボクにどうぞ。」
とキャンディーの山。

もちろん、チビは狂喜乱舞。



チビは、行く先々でご近所さんから可愛がってもらったので、すっかり味を占めまして、その後しばらく、
「お父さん、またご近所に行こうよ。キャンディもらえると思うよ。」
と言ってました。


お前さぁ・・・(;^_^A



そんなこんなで、午後から回った割には、それなりの数のお宅を回りました。
エサやりさん情報も入りました。
エサやりさんとの出会いは、運命の出会いだったのでした。


つづきます。

2018年6月29日 (金)

私のちっぽけな地域猫活動(実戦編 1)

ブログの引越しに手間取り、更新が遅れました。

さて、実戦編です。
あえて「実戦」とします。

「俺も地域猫活動をやるぞ」と覚悟は決まったものの、実戦経験はなかった私。


まず、基本方針として、
1 家庭と仕事には、絶対にしわ寄せが出ないようにする。
2 どうせやるなら、存分に楽しんでやる。
以上2点を心に決めました。


最初に、動物病院を探さねばなりません。
我が家の動物といえば、身体のやたらと丈夫なオカメインコ1羽を飼っているだけです。
あと、チビは動物とほぼ同じ動きをしますが、一応は人類ですし。


そういう訳で、地元にどんな動物病院があるか、さっぱり分かりません。
まずは病院探しです。
ノラ手術ができないことには、話になりませんから。


またもNPOねこだすけの工藤さんにメールしました。
「◯◯市内で、ノラさんの手術をしてくれる病院、ありませんかね。」
頼ってばかりで、ホントにすいません。


数日後、返信がありました。

地元でもないのに、色々調べてくださったようです。ホントにありがたいです。
「そちらの方面だと、◯◯動物病院がノラさんの手術をしてくれるみたいです。ただ、お値段など、詳しいことは分かりませんから、ご自分で確認してくださいね。」



あぁ良かった!

と思い、早速その病院に電話をしました。

仕事以外で動物病院に電話したのは初めてです。ものすごく緊張しました。
とても感じの良い女性が応対してくださいました。

「すいません。そちらの病院では野良猫の去勢不妊手術はやっていただけますか?」
「えぇ。ノラちゃんの手術、できますよ〜。」

「ありがとうございます!それで…、お値段はおいくらでしょうか?」
「女の子は30000円です(^ ^)。男の子は20000円です(^ ^)」

「・・・・・」

と~っても感じの良い病院でしたが、残念です。


都内の病院、2箇所を使わせていただくことにしました。
1頭30000円も使ったら、女房に家から叩き出されてしまいます。

だって、ウチ、対策しなきゃならない理由なんてないのです。被害にも遭ってないし。


動物病院まで、渋滞しなければ車で1時間くらいかな、などと考えつつ、「有給なんてそうそう取れないから、極力効率的に捕獲しないと。」と改めて決意。


このあたりから、気分はちょっとボラさんっぽく盛り上がってきてました。


事前に先生に連絡したら、「おいおい石森さん、ミイラ取りがミイラかい。」とひやかされつつも、協力を快諾していただきました。

ありがたいことです。
動物病院のご協力、重要ですね〜。



次にリサーチをせねばなりません。

猫好きでは無いし、平日は遠くに勤めに行っているので、近隣に何頭の猫がいるかも知りません。

何頭いるか分からなければ、計画も立てられませんし、費用も算定できません。
女房に怒られない範囲内でやらないといけないのです。

日頃、仕事でボラさんに繰り返し「近隣を回って、徹底的に周知してください。」と言っていたのですが、私も近隣周知&リサーチだけは徹底的にやることにしました。

徹底周知したボラさんが成功し、周知が甘かったボラさんが苦労している実態を、たくさん見ていたからです。

後になって考えると、やはり、この近隣周知&リサーチこそが、うまくいった主原因でした。



つづきます。

次回は、ビクビクものの戸別訪問です。

2018年6月26日 (火)

引っ越しました

前のブログは、スマホやタブレットでちゃんと表示されないとの報告をいただいていましたので、引っ越しをしました。

また、この機会に、文章の見直しもしました。

みなさま、これからもよろしくお願いいたします。

2018年6月22日 (金)

私のちっぽけな地域猫活動(覚悟決めた編)

 

地獄のようなマンション理事会が終わって数日後、土曜日の朝でした。

近所のコンビニに買い物に出かけた私は、1頭の白黒の猫に出会います。

その猫は、明らかにお腹が大きかったのです。

 

ゲゲゲゲゲ。

 

と思ったら、私の動揺が伝わったのでしょう、すぐに走って行ってしまいました。

 

こりゃ本当にマズいぞ。

泡食って、またもやNPO法人ねこだすけの代表、工藤さんにメールしました。

 

送信「ついに、お腹の大きい猫を発見してしまいました!」

返信「あなたが作ったマニュアルに従って対策してください。」

 

天の声。

 

なぜか、その場でスッと覚悟が決まりました。

「仕方がない。やるか。なんで俺がやんなきゃいけないのか、さっぱり分かんないけど。」

(猫が好きでなく、被害にも遭っておらず、マンションの5階に住んでいる私が、なぜ対策をすることになったのか、今でも全く分かりません。天の声にやられた、としか言いようがない・・・(^^;)

 

そんな訳で、行政担当者(当時)が、自らプライベートで地域猫活動をするハメになりました。

 

その後、具体的にどのように地域広報し、どのように対策を進めたのかは、今後「実践編」として細かく書いていきます。

色んなやり方があるとは思いますが、私が実際にやった進め方ですので、参考にしていただけるとうれしいです。

私のやり方は相当に手抜きでして、特徴は「それなりに忙しいサラリーマンでも十分にやれた。」ということですかね。

 

後日談ですが、私が覚悟を決めるきっかけとなったお腹の大きい白黒猫、ものすごく太ったオスでした(^^;)

 

ということで、お話はまだつづきます。

 

2018年6月21日 (木)

私のちっぽけな地域猫活動(逃げ回り編 2)

 

つづきです。

 

当時、私はマンション管理組合の理事をしていました。10年に1回程度、順番が回ってくるのです。

ある日、次回理事会の開催通知を見て驚愕しました。

 

「議題:野良猫被害への対策について」

 

マジですか(*_*;

 

そして、理事会当日。

「最近、急激にノラ猫が増え、1階の住戸専用庭でフン被害が頻発している」とのこと。

管理会社に苦情が寄せられているそうです。

 

理事は、私を含めて4人。

これに管理会社の担当者さんを入れて合計5名での話し合いです。

私以外の4人の方が、一所懸命に話をしています。

「市役所に相談した方がいい」

「保健所に言ったら、引き取ってくれるのではないか」

「侵入を防ぐ有効な方法はないのだろうか」

 

私は黙っていました。

この5人の中で、本当の解決方法を知っているのが私だけであることは明らかでしたが、「解決方法を知っています」などと言おうものなら、間違いなく「じゃあ、お願いします!」となってしまいます。

 プライベートの場ですから、私が仕事でノラ猫対策をやっていること(当時)を知っている人は、その場には誰もいません。

 「まだ子どもは4歳だし、地域猫活動に手を出して家庭に影響が出るのは、マジ勘弁してほしい。そもそも、仕事で朝から晩まで猫猫猫猫猫なのに、プライベートまで猫問題に関わるなんて、あり得ない。」という心理が・・・。

 

もう、全力で逃げ腰(^^;)

 

何度も言いますが、私は猫好きではありません。

被害にも遭っていないし、遭う可能性もない(マンションの5階)。

近所づきあいもない。

「俺が対策をやるのは、どう考えてもおかしいでしょ。お金もかかるし。女房に説明できないよ。」が本音。

 

さらにマズいことに、当時、私の地元自治体では、ボランティアに対して積極的な支援はしていませんでした(今は、とても支援してくれるそうです。)。

仕事柄、そのことも知っていましたので、余計に気が進まず・・・。

 

繰り返しますが、全身全霊を賭けて、逃げ腰です(^^;)

 

同時に「お前、人として、本当にそれでいいのか。」という良心の声。

良心の声が心に突き刺さって、実にキツいんですよ。

その声をも、全力で無視し続けました。

 

私にとっては苦行としか思えない理事会が、ようやく終了しました。

当然ながら結論は出ず。次回に持ち越し。

 

やれやれ。

と、ひと息ついた私でしたが、さらに追い詰められる事態が。


つづきます。

 

2018年6月20日 (水)

私のちっぽけな地域猫活動(逃げ回り編 1)

 

 

 「地域猫活動アドバイザー」などと勝手に名乗り、偉そうに講演などをしている私ですが、10年前は、自分の人生がこんなことになるなんて、想像もしていませんでした。

 

仕事として地域猫活動に関わっていましたが、それはあくまで「仕事」でした。

 

それなのに、困ったことに私自身の家の周りでノラ猫が増えてしまい、プライベートで地域猫活動をやらざるを得なくなりました。

 

それまでボランティアさんに話してきたことを、自分自身で実践し、体感することになったのです。

 

これが人生のターニングポイントとなりました。

 

 

 

今から約5年半前、2012年の秋のことです。

 

夜9時頃、仕事から埼玉県の自宅に帰って来て、リビングでゴロッと横になっていました。

 

すると、外から、明らかに猫の、奇妙な鳴き声が聞こえてきました。

 

私の家はマンションの5階です。

 

「この鳴き声はヤバイ!」と思い、ベランダに飛び出て下の道路に目を凝らしました。

 

小走りに道路向かいの家の庭に入っていく2頭の猫の姿が、街灯の灯りに浮かび上がっていました。

 

NPO法人ねこだすけの代表、工藤さんにメールしました。

 

「今、変な鳴き声がしたので外を見たら、2頭の猫が向かいの家の庭に入って行ったんです!」

 

すぐに返信がありました。

 

「それは、逢引ですなぁ。」

 

 

 

逢引ですなぁ、って言われてもねぇ・・・、なんて思いましたね(^-^)

 

今になって考えると、百戦錬磨の工藤さんとしては、2頭の逢引くらいでガタガタ言うなよ、ということだったのでしょう。

 

 

 

結局、私としては、「これって、結構マズい状況かも。」と思いながらも、何もしないことにしました。

 

正直な気持ちは、「自分はまるで猫好きではないし、マンション5階に住んでいるので被害とも無関係。ご近所との付き合いも全く無い。日々忙しいのに、ノラ猫対策なんてやってる時間は無いね。」というものでした。

 

よくある問題先送りです。

 

我ながら、典型的な無関心住民で、ダメダメなパターンですね(^^;

 

 

 

しかし、事態はどんどん悪化し、私は追い詰められていきました。

 

続きは次回に。

 

 

2018年6月17日 (日)

「手術は自然に反する」という意見に対して

 「手術は自然に反するから、反対。」「子猫が産めなくなるなんて可哀想。」という意見が根強くあります。

たしかに、去勢不妊手術は自然の摂理に反します。

ですが、自然に反していても、手術は必要です。

理屈を整理してみます。

 

1 「動物」の分類

「動物」は、法令上、大きく2つに分類されます。

一つは野生動物、もう一つは、ペットを含む広義の家畜です。

 

2 野生動物

野生動物は、人間が生態に関与してはいけません。生態系が乱れてしまいます。たとえば、野生の熊や鹿にエサをあげては絶対にいけません。人間から食事をもらう習慣をつけてはいけない。あたりまえのことです。

彼らは、自然の摂理のままに繁殖行動し、厳しい自然の中、生まれた子どもの大半が死亡します。そして、強い個体、運の良い個体だけが生き残り、次世代に遺伝子を残していく。こうして、種の個体数は、おおむね一定数が保たれます。

「あんなに可愛い小鹿ちゃんが死ぬのは可哀想すぎる。どの小鹿も立派な成鹿になれるように、みんなでお世話しながら成長を見守ってあげよう」と、人間が小鹿たちにエサを与え、病気の時は動物病院に連れて行くならば、自然破壊そのものです。

個体数が増えすぎることになりますので、その理屈ならば、森の鹿たちの去勢不妊手術も必要ということになります。

 

3 広義の家畜(ペットを含む)

ここでは、「家畜」という言葉を「家の動物」という広い意味で使います。ですので、牛、馬、豚、羊等だけでなく、犬や猫等のペットも含んだ意味で使います。

「動物の愛護及び管理に関する法律」第44条には、「愛護動物」という概念が登場します。

「愛護動物」とは、以下の動物です。

第44条第4項第1号

牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる 

第44条第4項第2号

前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬は虫類に属するもの

 

もうお分かりと思いますが、第44条に定められている「愛護動物」とは、広義の家畜を指していると思われます。

自然界の生き物ではなく、人間界の生き物、という意味です。

 

4 第1号の愛護動物とは

ここでは猫がテーマですから、第1号に列挙されている動物について、さらに考えてみます。

牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひる 

(法解釈上、上記は、飼われていなくても愛護動物です。ノラ犬やノラ猫も愛護動物です。)

 

すべて、古来から人間社会の一員として、人間からエサをもらい、人間社会で何らかの役割を果たしてきた動物たちです。

いわば、大昔から人間の仲間だった動物たちです。彼らは、人間と一緒に歴史を生きてきたのです。

彼らは、品種改良などによって、もはや自然界には存在しない生物となっています。

ですから、彼らのことは、人間社会がきちんと面倒を見る責任があります。

単にお世話するだけでなく、彼らが人間社会の一員としてちゃんとやっていけるように、適正管理する責任があります。

 

5 野生の世界と人間の世界

野生の世界では、動物の赤ちゃんのほとんどが、病気や、肉食動物の餌食となって死んでいきますが、大きな大きな地球の摂理の中で、すべての命は巡っていきます。

可愛い赤ちゃんシマウマの命を、親ライオンが容赦なく奪いますが、そのことによって、子ライオンの命が明日へとつながっていきます。

そこには、人間的「可哀想」が入り込む余地はありません。

 

一方、人間の世界で生きる猫(愛護動物)は、野生の世界とは違います。

人間社会、特に住宅地においては、食うか食われるかという戦いが(ゼロではないにせよ)非常に少ないです。捕食されることが少ないのです。

野生動物はカロリーの低いエサを山中で得ていますが、住宅地のノラ猫は栄養価の高いエサを得やすいです。

したがって、自然界にいる他の動物とは異なり、成獣(成猫)になれる割合が高くなり、個体数が増えやすいのです。

増えすぎた猫は、ふん尿等、地域社会のトラブルの元となってしまいます。

人間は子孫を残すことについて自分たち自身でコントロールしますが、猫にはそれはできませんから、適正管理のため(=人と共生していくため)、去勢不妊手術が必要になります。

 

6 猫の去勢不妊手術とは

去勢不妊手術は、人間側の都合です。

猫自身は去勢不妊手術を望んではいません。むしろ嫌だと思います。

手術は、「人間社会の中で猫が生きていくために、止むを得ず行う処置」です。

「止むを得ず」ではありますが、現代日本の住宅地においては「必要不可欠」でもあります。

 

「猫の幸せのために手術してあげる」のではなく、「自然に反するし、怖い思いをさせるけれど、君たちがこの社会で生きていくためには、手術が必要なんだよ。ゴメン。」と行うものだと思います。

私は、手術が絶対に必要という考えですが、同時に、健康な動物の体にメスを入れる、という重みを忘れるべきではないとも、思っています。

 

「手術は自然に反する。可哀想だ。」と言うご意見に対する私の考えは、以下のとおりです。

「たしかに自然に反しますが、そもそも、猫は、自然の動物ではないのです。人からエサをもらっているということは、自然の動物ではないということです。猫は人間界の動物ですから、人と猫が共生できるように、人間がきちんと管理しないといけません。住宅地で猫が生きていくためには、去勢不妊手術は止むを得ない処置です。」

 

★★★★★★★★★★★★

 

人間って、自然の摂理に抗っていて、地球の異端児だなぁ、と思います。

だから、地球上で、人間の数だけが、ハイペースで増え続けていて・・・。

それでも、私は人間が好きで、人間社会で生きていく・・・。

矛盾していますね。

2018年6月 7日 (木)

ボラさんが好き

猫の愛護活動をなさっている方や、地域猫活動をなさっている方が、私は好きです。

私自身は全く愛猫家ではなく、困っている人のお役に立ちたいだけですので、ボランティアさんにはかなり厳しいことも言いますし書きますが、それでも、ボランティアさんが本当に好きです。

猫に関わる活動をなさっている方々は、みなさん根本的に繊細で優しいのです。

 

譬え話です。

もしも私が、途上国で暮らすことになったとして、路上には汚いストリートチルドレンがたむろしており、時には盗みを働いたりして、街の嫌われ者となっているとします。

でも、彼らは望んで路上生活をしている訳ではない。あの子たちには、何も罪はないのです。社会が、大人が、彼らへの責任を負うべきです。

私は、心を痛め、毎晩彼らに食事を提供します。

身なりが汚く、臭いのきつい子どもたちが、私がご飯を用意する場所に集まってきます。

近所の人は眉をひそめ、私に接する態度も最近はよそよそしくなってきました。

でも、私は、正しいことをしている確信があるので、どう思われようが、絶対にご飯の提供は続けます。

あるとき、身なりの奇麗な紳士が、私に向かって言いました。

「おい、この汚い奴らが、私の家の近くに集まらないようにしてくれ。病気をうつされたらかなわん。こいつらは、何も社会の役に立っていない。臭いし汚いし、迷惑そのものだ。すぐに、飯を提供するのをやめろ。あんな奴らが餓死しようと、私の知ったことではない。」

きっと、私は、口惜しさと怒りで全身が震えるでしょう。

もしかすると殺意さえ覚えるかもしれません。

 

外で暮らす猫を助けたいと、一所懸命に頑張っている方の気持ちは、きっと、こんな気持ちに近いのではないかと、推察しています。

私は愛猫家ではないので、推察するしかないのですが。

 

必死で生きている弱い存在への温かいまなざし、注ぎ込む愛情。

これは、人の心のうんと奥底にある美しい本能であり、決して否定されてはならないと、私は確信します。

 

きっと、だから、私はボランティアさんが好きなんでしょうね。

 

2018年6月 1日 (金)

愛護「プラスアルファ」

地域猫活動は、地域の人とコミュニケーションを取ることによって、住民一人ひとりの心にある「猫との共生を阻害している要因」(=ふん尿被害や、餌を与えている方との感情的トラブルなど)を丁寧に聞き、「これからは良くなる」と思ってもらえるような対策をすることで安心を提供し、人と猫が共生する地域づくりをするものです。

 

したがって、よく言われるように、「地域猫活動は、猫を相手にする活動ではなく、地域住民を相手にする活動」です。

 

ですが、4月22日の記事にも書いたように、人それぞれ、得意なことと不得意なことがあります。置かれている状況も様々です。

 

人と話すと緊張して何も言えなくなってしまう方もいます。

猫をめぐってご近所と酷いトラブルになっていて、明らかに、ご近所と仲良くコミュニケーションを取れる状態ではない方もいます。

 

誰もがすぐに地域猫活動ができるとは思えません。

 

でも、愛猫家であれば、猫が地域の嫌われ者にならないように、何かひとつはしてほしいなぁ、と私は思うのです。

 

ただ可愛がるだけでなく、もう一歩前に進んで、人と猫が共生できるようにするにはどうしたらよいかを考えてほしいのです。

 

いきなり話が変わりますが、私は若い頃、本当に子どもが苦手でした。

電車とかで子どもが近くにいると「困ったなぁ~。ついてないなぁ。」などと、冷たいことを考えていたものです。

ですが、自分に子どもができたとき、理屈抜きで可愛いと思いました。

そして今、自分の子どもが地域で可愛がってもらえるように、ご近所には気遣いをしています。

 

多くの親が、自分の子どもがいたずらをして近隣に迷惑をかけたときに「子どもなんだから、多少のいたずらは当然でしょ。それをあんなに目くじら立てて。あの家は子どもが嫌いなんだよ。」と言うのではなく、すぐにその家に飛んで行き、謝罪すると思います。

なぜなら、子どもが地域の大人から嫌われてしまったら可哀想だからです。

 

子どもは可愛がるのが当然、とは私は思いません。苦手な人がいて当然です。

猫は可愛がるのが当然、とも私は思いません。苦手な人がいて当然です。

(猫を可愛がることは素晴らしいことだと思いますが、社会共通の「当然のこと」とは思いません。)

 

親が、子どもが近隣で嫌われないように気遣いするのと同様に、猫が近隣で嫌われ者にならないように、愛猫家の方は、愛護に加えて、「プラスアルファ」をお願いしたいのです。「プラスアルファ」をすることで、誇り高き愛護家であっていただきたいと思うのです。

 

愛護に加える「プラスアルファ」は、たとえば・・・。

1 飼い猫は完全室内飼育をしていますか。

2 飼い猫の去勢不妊手術はしていますか。

3 エサやりしている外猫に、去勢不妊手術はしましたか。

4 他地域から猫を集めないよう、エサやりは定点定時のセオリーを守っていますか。

5 エサやりの際、周囲の清掃をするなど、近隣に配慮していますか。

 

地域の愛猫家さんの多くが1~5を実行すれば、地域猫活動をしなくても、地域環境は劇的に改善します。

その結果、猫が嫌われにくくなります(逆に言うと、愛されやすくなる。)。

 

「プラスアルファ」

できることから始めてみませんか。

今すでに何かをしている方は、さらにもうちょっと、やることを増やしてみませんか。

猫の幸せのために。

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