楽な現場からやる
なぜか、ボランティアの皆さんは、過激で困難な現場に情熱を燃やすことが多いようです。
たとえば、どうしてもご理解いただけない方がいる現場とか。
私は、飼い主のいない猫対策は戦争のようなものだと思っています。
戦略上の重要拠点であるならば、多少の無理をしても攻略する必要があるでしょう。
ですが、ただ単に困難な現場だというだけで、意地になってその状況を突破しようとしていることが多いように思います。
困難な現場で10頭の猫の去勢不妊手術をするのと同じ期間とエネルギーで、普通の現場ならば、30頭いやそれ以上の猫の手術ができるし、地域の皆さんに普及啓発もできるのではないでしょうか。
普通の現場で勝利を重ねて、実績を街中にアピールしていく方が、困難現場で長期間停滞しているよりも、戦略的には断然に上手いやり方だと思うのです。
また、私の経験では、この世の全ては流転します。
何が言いたいのかというと、どんなに困難な現場でも、しばらく放置すると、状況が変わるのです。
たとえば、人が引っ越していたり・・・。
風が追い風になったその時こそ、突入のチャンスです。
何ごとにも、タイミング、チャンスがあります。
最終的な勝利を得ることが目的ならば、敵が強大で向かい風のときに、無理して突破を図る大将はいない、ということです。
だから、困難な現場にぶつかったときは、このまま一気に進むのか否か、いったん立ち止まって、クールな頭で考えることをお勧めします。
ちなみに、この考え方は、私のオリジナルではありません。
NPO法人ねこだすけの代表理事である工藤久美子さんから教わり、そして私自身の現場経験の中で「あぁ、本当にそのとおりだなぁ。」と思ったことです。
もうひとつ、工藤さんから教わった大きなことは・・・、
「失敗を引きずらない。いつまでもこだわらない。」
猫問題に限らず、どんなことでも同じですが、世の中、上手くいかないことも多くあります。
完璧を求めず、上手くいかないときは現実的な妥協も行い、少しでも前に進むことを考える、ということですね。
こうやって考えると、私、「地域猫活動アドバイザー」なんて自称して偉そうに理屈を垂れていますが、工藤さんに足を向けて寝られませんね。
他にもたくさんの方々・・・、「地域猫」の名付け親である元・横浜市職員の黒澤さんや、私にこの活動の面白さを教えてくれた元・新宿区職員の高木さんなど、先人が必死で切り開いた道を自分は歩いているのだということを、忘れないようにしたいです。